1ハン役 出現率:43.2%
・メンゼンのみ
・テンパイ時に自分のツモ後、「リーチ」を宣言して牌を捨てる
・1000点を場に出す(供託)
(持ち点が1000点以上でなければリーチをかけられない)
・リーチ後、手牌を変えることができなくなる
・「一発」と「裏ドラ」で役が増える可能性がある
門前(メンゼン)で聴牌(テンパイ)している状態のとき、自分のツモ番に牌を捨てる際に「リーチ!」と宣言することで、リーチの状態となります。その後にアガることができれば、1ハン役がつきます。
宣言時に捨てる牌は、横に倒して河に置きます。これにより、どのタイミングでリーチをかけたかを記録して他家に示します。
また、リーチを宣言したら、1000点棒を場に出します(供託)。この点棒を「リーチ棒」(リー棒)と呼んだりします。持ち点が1000点未満では、リーチができません。
供託した点棒は、自分がアガれば返ってきますが、他家がアガればその人に取られてしまいます。流局した際でも場に残され、次にアガった人が取ることになります。
ほかリーチできない条件として、山の牌の残りが4枚未満の場合が挙げられます。リーチ後に最低1回は自分のツモ番が予定されていなければならないということです。
宣言してリーチの状態になったら、手牌を変えることができなくなります。ツモってきた牌は、アタリ牌でなければツモ切りし続けることになります。
待ちの形が変わらなければ、暗カンは可能です。前掲の画像では、暗刻(アンコ)になっている「九索」をツモった場合、カンしても待ちに影響はありませんので、カンすることができます。
ただし、ルールが「赤あり」の場合、実質的に待ちが変わらないと言っても、ツモった赤ドラと手牌の通常牌を交換することは認められません。
また、リーチ後に他家が捨てたアタリ牌を見逃すと振聴(フリテン)となります。結果、ロンでアガることができなくなり、自分でツモるしかなくなります。
リーチをかけると、さらに1ハン役の「一発」がつく可能性が生まれます。また、アガったときに「裏ドラ」が乗る可能性が生じます。なお、リーチの上位役として「ダブル立直」(ダブルリーチ)があります。
流局時など手牌をオープンした際に、テンパイしていないのにリーチをかけていたことが発覚した場合、チョンボとなります。
日本独自の特殊ルールであるリーチは、役のなかでもメリットとデメリットがハッキリしている上に、するもしないも自由という点が特徴的です。それだけに戦略的な使い方が求められますので、初心者の方はまず「テンパイしたら即リーチ」という悪癖を身につけないよう気をつけましょう。リーチをかけるべきか否かよく考えられるようになることが、初心者脱却の第一歩です。
リーチのメリットとして、「一発」や「裏ドラ」よりも確実なのは、「メンゼンでありさえすれば任意で1ハンを追加できる」というところです。1ハン縛りで役がないときでも、リーチをかければ出アガリすることができます。役がないのにドラをたくさん持っているときなどに重宝します。
かたやデメリットにおいては、やはり手牌を変えられなくなる点が深刻です。暗カンはできるものの、リーチをかけた時点で、もう自分の手はそれ以上の発展がなくなり、手牌の将来性を放棄することになるわけです。手の伸びしろをよく考慮してリーチを判断するのが基本となります。
また、手牌を変えられないということは、絶対にオリられないことを意味します。しかも、どんなに危険な牌でも、自分のアタリ牌でなければツモ切りせねばなりません。リーチをかけた人は、もっとも放銃しやすい人でもあるのです。
その一方で、リーチは自分がテンパイしていることを高らかに公言する行為ですから、他家を警戒させます。ダマテン(リーチしていないテンパイ状態)なら出た牌が、リーチしたせいで出てこなくなった、という事態を招きかねません。少なくとも、ダマテンよりも出アガリしにくくなることは確実です。
こうしたデメリットを見ると、リーチとは、攻撃力を固定して防御力を放棄した捨て身のかまえであると言えそうです。いかにも日本人の発想らしいサムライ的な勇ましさですが、このハイリスクに見合ったリターンが得られるかどうか、よく考えた上でリーチをかけるようにしましょう。無益な勇気をふるってハラキリとなっては浮かばれません。
リーチは他家を警戒させますが、その性質を利用したリーチ戦術に「引っかけリーチ」があります。
他家のアタリ牌を回避するときによく使われるのが「147」「258」「369」の組み合わせからなる「スジ」です。河に4の数牌が捨てられていれば、現物の4だけでなく、そのスジである1と7の数牌も、両面待ちに対して安全牌となります。
引っかけリーチでは、自分の捨て牌のスジの牌を待つ形でテンパイし、リーチをかけます(スジ引っかけ)。リーチ宣言時に捨てる牌のスジで待つと、よりもっともらしく偽装できます(モロ引っかけ・モロヒ)。
両面待ちではないので苦しい待ちとなりますが、そのリーチを受けて警戒した他家が、まずスジの牌を切ってくるだろう、と期待できるわけです。見事にハマれば「一発」がつく可能性も高いですし、なにより気持ちのよい痛快なアガリとなります。
この戦術の成否には、他家の個性が大きく関わってくるでしょう。スジを知らない初心者にはまったく通用しませんし、手堅く現物からオリてくる人も多いでしょう。あらかじめ他家をよく観察し、人のテンパイに対してどのように対処するのか、各人の傾向を把握しておくとよいでしょう。
手牌を変えられなくなれば、フリテンを解消することもできなくなります。それがリーチのデメリットでもありますが、フリテン状態であえてリーチをかけるのが「フリテンリーチ」です。
フリテンリーチの出番としては、たとえば、手を高くするためなどにより、やむなくフリテンで待つことになってしまった場合です。安目をツモってもアガらずに高目を待つことしたときなどが該当します。または、点差を挽回するためにリーチとツモが必要だと判断されたら、フリテンリーチをいとわないケースもあります。
リーチは他家を警戒させますから、ハッタリとしての効果も期待できます。ツモでアガれなくても、うまくゆけば自分ひとりテンパイで流局に持ち込めるかもしれません。まんまとみんなを巻き込むことができると、いささか悪趣味な快感を得ることができます。
しかしながら通常は、フリテンリーチをかけるよりも、フリテンの解消につとめたほうがよい場合がほとんどです。ツモアガリという小さな望みのために、リーチによる大きなリスクを背負うのは、よほど必要に迫られない限り、得策ではありません。
なお、ルールによってはフリテン状態でのリーチが認められず、チョンボになることがあります。事前に確認しておきましょう。
すでに他家がリーチをかけているときに、あとからリーチをかけることを「追っかけリーチ」と呼びます。
この戦術は、先にリーチをかけている人よりも、自分のほうが待ちがよいと確信できる場合にもちいられます。先の人が自分のアタリ牌をツモ切りしてくれることを期待するわけです。
しかしながら、実際にメクリ勝負の一騎討ちになればよいのですが、第三者に漁夫の利をかっさらわれる危険も大いにあります。わざわざ自分もリーチをかけて、先の人と同じリスクを背負うには、それなりの必然性がなければなりません。現実的にはあまり使いどころのない戦術でしょう。
しばしば漫画などで演出的に追っかけリーチが登場するように、勝負がドラマチックに盛り上がるというのも捨てがたい魅力かもしれません。ただし「全員がリーチ状態になると流局」(四家立直)というルールがありますので、追っかけすぎには注意が必要です。